弔辞を依頼されたら
弔辞を書かせていただきました。
とても親交があった方でした。
文章は知人が
筆耕はわたしがやらせていただきました。
原稿を知人から受け取り文章を読んだときは
読めないくらい涙が出てきて
冷静に集中してきちんと書けるだろうか
職人としての仕事ができるのだろうか
○○さんは最後に
大きな役割を
わたしに与えてくださいました。
そして
プロ意識を教えていただきました。
弔辞の原稿と読み上げ
知人から原稿をいただき、筆耕させていただいた文字数は¥1200文字です。通常より長めです。知人はわたし以上に想いが深い。実際読めるのだろうか?と心配しました。
エピソードの中で会社での内容は「取締役」と伝え、ご遺族や自分に関わるプライベートなことは「○○さん」という原稿でしたが、実際読んでいたときは「あなた」という言葉で語りかけていました。
読みあげた時間も5分以上あったと思います。辛かっただろうに…優しく、ゆっくりと伝えていました。
故人へのお別れの言葉
弔辞とは故人を弔う言葉です。
予め遺族から依頼された人が代表で読み上げることも多いですが、葬儀の規模にもより数人代表で選ばれることもあります。お別れの式なので堅苦しい言葉を選んでしまいがちですが無理に難しい言葉を選ばず御霊前に語りかけるように優しく自分なりの言葉でまとめると想いが伝わると思います。
弔辞の文章を作成する基本的な5つのこと
書式
最近では便箋に万年筆で書き白い封筒に入れる略式が多いそうです。お手紙のように。
その時に二重の封筒ではなく一重のものを。二重封筒は「不幸が繰り返す」という縁起が悪いとされます。正式な弔辞にしたい場合は「奉書紙」か「巻紙」に墨で書きます。薄墨にするのかどうかですが弔辞の場合は普通の墨色が多いです。
御霊前の熨斗袋は薄墨で名前を書くといわれています。(涙で墨が薄くなるという意味)
コンビニなどにも売っている熨斗袋は黒く印字されています。御霊前は黒なのに名前は薄墨か?とのこともあり最近では受け取る側が見やすいようにとのことで普通の墨でも失礼がないそうです。
地域によって違いもありますのでご確認してみて下さいね。
文章の長さ
3分くらいのゆっくりとしたペースで読むので1000文字くらいまでが目安です。
構成
故人の悼う言葉から入り、人柄や思い出深いエピソードを交え最後はご遺族へのお悔やみとご冥福の言葉で結びます。
忌み言葉(いみことば)
日本では「言霊」という言葉があるように特別な力があると考えられていました。
重ね重ね、たびたび、またまた、ますます、再び、続いて、追ってなど不幸を連想させない言葉を選びましょう。
包み方
「弔辞」の文字が表面の中央に来るように折りたたんだ弔辞文を奉書紙の真ん中に置きます。
上下左右とも十分な余白ができる大きめの奉書紙を準備し、右側が下、左側が上になるように包んだら上下を裏へ折ります。
実際の弔辞の文章
○○取締役の御霊前に深い悲しみと共にお別れの挨拶を捧げます。
かねてより体調が優れないことご自身の口から聞いておりましたが、まさかこれほど早くお別れの時期が来るとは思いがけなく、とても残念であります。
昨年より入退院を繰り返しながら闘病生活を送ってこられた○○取締役は必ず入院する前に、私たちに留守中は頼むぞ、と声をかけてくださり、退院後も何か問題なかったか、何かあったらすぐに連絡してこいと、どんな時でも会社のこと、私たちのことを気に掛けてくれました。今から27年前、わたしがこの会社に入社し、はじめにお世話になった先輩が○○さんでした。わたしは○○さんのもとで仕事を覚え、現場管理者として育てていただきました。
当時は公共工事が中心で日中は現場の管理、夜は書類整理、竣工検査前は日曜日も休まず家に帰れない日も何度も経験したことを今でも覚えています。また台風や雪害などの緊急時は真っ先に連絡を取り合い、深夜2人で巡回したことも何度もありました。仕事には絶対に妥協しない厳しい上司でもありながら仕事を外れるととても優しい先輩でもありました。
口下手でシャイな一面もあった○○さんでしたが、一緒に仕事をしている間に何を考え、何を言いたいのか私は理解していたつもりです。○○さんも私たちに対し同じだったと思っています。時には考えや意見が合わなく長い時間かけて話し合いをした事もたくさんありました。その光景は社内でも有名だったはずです。○○取締役は常に会社を強くしたい、社員一人ひとりがしっかりしてもらいたいと願い、そのためなら悪者になってもよいと強い覚悟で臨んでいました。
思い出すのは私の結婚式に家族そろって出席していただき家族ぐるみで食事を楽しんだ事を覚えています。工事現場が竣工した後は打ち上げと言ってお酒を飲みに連れて言ってくれたことなど職場の後輩として本当に可愛がっていただきました。
今から2ヶ月前、再び入院すると伝えに突然お昼を誘ってくださり、昼間から焼肉屋さんを探し、たくさんのお肉の注文し一週間分食べたと私の顔を見ながら満足気に話してくれました。よし次は「静岡に行くぞ。」といけるはずもない体で強がって言い残した言葉が今でも頭の中から離れません。今思えばあの時、本当はもっと違うことを言いたかったのではないか、私たちにも伝えたいことがたくさんあったに違いないと感じています。
常に強気の姿勢で戦ってこられた○○取締役を私たちは生涯忘れません。私たちの中にはいつも厳しく指導してくださった強い取締役の声が残っていますので心配しないでください。
私たちは甘えることなく○○取締役から教えられた事を胸に刻みしっかりやっていきます。今まで本当にありがとうございました。
どうか安心してゆっくりお休みください。 さようなら。
株式会社○○○○○○ 社員代表○○○○
長い弔辞さいごまで読んでいただきありがとうございます。
今日もありがとうございます。